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お世話になります。米国株投資に掛けるアラサー女子のベン子です。
ファッションブランドのH&Mは、国民的歌手の安室奈美恵さんとコラボして「Namie Amuro x H&M」コレクションをゴールデン・ウィーク期間中の4月25日(水)から全国のH&M店舗とオンラインで発売することを発表しました。
一見、よくあるアーティストとファッションブランドとのコラボですが、これには、崖っぷちに追いやられたH&Mの土壇場の秘策だったと言います。
気になりますよね。調べてみました。
2018年9月16日をもって引退を表明している歌手の安室奈美恵さん。
かつて「アムラー」と呼ばれる熱狂的なファンを持つほどのトップアイドルとして一世を風靡し、その後も音楽的な変遷を重ね、3時間近くに及ぶライブを一切のMC無しにノンストップで歌い続ける独自のスタイルを確立。アイドルからアーティストへと成長し、デビューから25年経った40歳においてなおJ-POPシーンのトップに君臨し続け、幅広い世代からの支持を持つ女性シンガーです。
2017年11月にリリースしたオールタイム・ベストアルバム『Finally』は、累積売上枚数200万枚を突破しダブルミリオンを記録。邦楽ソロアーティストとしては11年ぶりの快挙を達成しています。
勿論その人気は国内だけにとどまらず、アジア圏を中心に世界中にファンがいます。特に、2018年2月から日本とアジアで過去最大の動員・公演数となるファイナル・ツアーを開催しており、多忙を極める日々を過ごされています。
一方、H&Mは1947年にスウェーデンで設立された世界的なファッションブランド。世界69の市場に4700店舗以上を展開し、日本でもファストファッションブランドとして多くの人に認知されています。
今回の安室さんとのコラボアイテムは初夏の装いとして、フェミニンで洗練されたシルエットや青空を連想させる爽やかなデザインのアイテムが登場します。その価格帯も、トップスが1299円、ボトムスが1299円~5999円、ワンピースが2999円~3999円、ジャケットが7499円というお手頃価格に設定されています。
しかし、H&Mグループは2017年の第4四半期の売り上げが過去最低を記録。さらにこの1月に、黒人のキッズモデルに着せた「ジャングルで一番クールな猿(Coolest Monkey in the Jungle)」と書かれたパーカーが人種差別的だと物議を醸しました。H&MとコラボしていたR&Bシンガーのザ・ウィークエンドさんがTwitterで契約解消を宣言したことも話題になりました。
早い話、広報戦略で大チョンボを打ったということです。
何故、そんな大チョンボを打ってしまったのか?
それは、低迷する売り上げやブランドイメージを刷新するためには、どうしてもインパクトの強いキャッチコピーを打たなければならず、ある程度危ない表現とわかっていてもやるよりなかった。と想像できますよね。
今回安室奈美恵さんがキャンペーン・アンバサダーをつとめるコラボ企画が実現したのも、社長自らが安室さんに手紙を送ってお願いしたことによって実現したと言われており、その手紙の全文が公開されています。
「親愛なる 安室 奈美恵 様
この度、H&Mジャパンの全スタッフを代表して、安室様にコラボレーションについてご提案する機会を頂きまして、心から光栄に思います。
(ここからは敬意を込めつつ安室さんと書かせて頂くことをお許しください。)
多くの日本人がそうであるように、H&Mのスタッフも、安室さんの音楽や価値観の影響を多大に受けています。
日本が誇るスーパースターとしてだけではなく、幅広い世代の女性のロールモデルとして活躍される安室さんに、私たちは魅了されてきました。
数多くの女性が、自立、エンパワーメント、そして自己実現に向かって邁進している今日において、自分を高め、新しい自分を開拓すること、また多くの夢は不可能ではないということを自らの生き方で示されてきた安室さんは、まさに輝く星のような存在です。
H&M は世界中のお客様にインスピレーションを与え、応援することを大事にしています。ファッションは自分を自由に表現することができる方法の一つです。
私たちは、どんな人も手の届きやすい価格で、自分自身のスタイルを探求できるようにしたいと考えています。
H&M は世界中の多くの著名人とコラボレーションをしてきました。
溢れるクリエイティビティと優れたパーソナリティで、特別な存在感を放つ彼らのメッセージをアイコニックな広告キャンペーンを通して、世界に発信してきました。
その中で、このたび私たちは日本発の、アジア向けに発信するキャンペーンを行う機会を得ました。
そこにもし安室さんが出演していただけたなら、私たちにとっては、大変光栄なことです。
ロールモデルやファッション・アイコンとしての安室さんを支持するだけではなく、安室さんから多くのインスピレーションを受け取っているファンの方々やお客様に、歴史に残るようなキャンペーンをともにお届けできるよう、心より願っております。
心をこめて。
代表取締役社長 ルーカス・セイファート」
どんだけー褒めまくりー、持ち上げすぎではないですかね。
それほどまでにして、このコラボを実現しなければならない、H&Mの台所事情とはなんなのでしょうか。
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以下のグラフは、過去5年間のH&Mグループの株価の推移です。2015年2月7日に363.80スエーデンクローナ(日本円で約4650円)の最高価格を付けましたが、2018年4月10日現在の株価は126.3スエーデンクローナと約3年で、株価は3分の1に下がっています。
https://www.bloomberg.co.jp/quote/HMB:SS
今回の安室さんとのコラボレーションはその起死回生の一矢となるのでしょうか?残念ながらその望みは薄いと言わざるを得ません。
H&Mとの対比でよく語られる「ギャップ」、「オールド・ネイビー」、「バナナ・リパブリック」等のファストファッションのブランドを展開するアメリカのGap Inc.の株価は、2015年の40ドルから2018年には30ドルとなり、同じように株価が約25%低迷しているのです。
それに対して、同じファストファッションでも、H&Mやギャップに比べると少しお高い価格帯の「ZARA」ブランドを展開するスペインのINDITEX社は2015年の20ユーロから2018年には36ユーロとなり、株価は約1.8倍になっているのです。
これらの株価が示すところは、すでに「安いだけの」ファストファッションは成長期を過ぎてしまったということでしょう。
実際、ベン子も「バナナ・リパブリック」なんかは好きなブランドの一つでしたが、最近は、デザイン、質ともに
「欲しい」
と思える服に出会えることがほとんどなくなりました。特に日本国内の「バナナ・リパブリック」店舗で売っている服はこう言っては何ですが「最悪」レベルと思っています。それに対して「ZARA」は、まだしもデザインセンスや品質がどうにか満足できるレベルと思うのです。
確かにかつて「アムラー」と呼ばれた女性たちは当時、中学生や高校生で自由になるお金も少なく、それであれば、H&MやGapを買ったかもしれません。しかし、安室さん自身が40歳を迎えたように、アムラーと呼ばれた少女たちも今は大人の女性となり、自由になるお金も当時に比べれば増えているはずで、より高品質なものを求めるのではないでしょうか?これが、ベン子が今回のコラボは瞬間的なヒットにはなっても、ブランドイメージが根本的には変わらない本質だと思っています。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
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